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ブログ|経営録コラム

キッチンカー開業で最初に確認したい許可と費用

販売窓の縁に、営業許可に関する書類を挟んだクリップボードが置かれたキッチンカーのカウンター

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・サービスの推奨ではありません。

最初に決めるのは車ではなく「何を売るか」

キッチンカーを始めようと考えたとき、多くの人が最初に調べるのは車両の価格です。しかし、制度と費用の両面から見ると、先に決めたいのは車の種類ではなく、何を、どこで売るかです。理由は、提供するメニューの調理工程の数によって、営業許可の可否や必要な設備が変わり、設備によって車両の仕様と費用が決まるからです。

北海道が公開している「自動車営業をはじめられる方へ」では、営業許可の対象となる営業と、営業届出で足りる営業が区別されています。焼き鳥、唐揚げ、フライドポテト、クレープなどの調理販売やドリンク類の提供は営業許可の対象とされ、許可の有効期間は5年です。完成した弁当や惣菜、包装済みの食肉・魚介類、青果物の販売は営業届出の対象で、届出は無料で期間の制限もありません。常温で長期間保存できる包装済み食品は、許可も届出も求められない区分に挙げられています。同じ「移動販売」でも、売るものによって手続きの種類が異なるということです。

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調理して提供するキッチンカーの場合、次に決めたいのは提供する品目の数と工程の数です。北海道の案内では、給水・排水タンクの容量の目安が、約40リットルで1工程程度の簡易な調理、約80リットルで2工程程度までの簡易な調理、約200リットルで多品目の提供と示されています。中小企業診断協会の報告書は、40リットルのタンクの車両では単一品目に限られ、ドリンクも1品目と数えられるため、フライドポテトとジュースを同時に出すことができなくなると指摘しています。メニューをあとから増やすつもりなら、最初から余裕のあるタンクを選ぶ必要があるということです。

もう一つ、早めに考えたいのが営業するエリアです。報告書は、都道府県をまたいで営業する場合には、都道府県ごとに保健所の許可が必要になると説明しています。オフィス街のランチを中心にするのか、週末のイベントに遠出するのかによって、取得すべき許可の数が変わります。仕込みを別の場所で行う場合には、その仕込み場所にも営業許可が必要になります。

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許可の窓口は保健所、まず相談から

キッチンカーの営業許可は、食品衛生法に基づいて保健所が出します。2021年6月1日には、営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設が施行され、施設基準も全国で統一されました。それ以前は都道府県ごとに基準が違い、複数の地域で営業するには別々の基準に合わせる必要がありました。報告書は、統一によって複数の都道府県で許可を取ることが以前より容易になったとしつつ、細かな点は地域ごとに多少異なる場合があるため、所轄の保健所に基準を確認するよう勧めています。

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許可を申請する前の実務としては、車両の図面や設備の案を持って、保健所に相談するのが基本です。製作事業者の中には、保健所から求められる図面の作成や、申請書類の作成を支援すると公式サイトに記している例があります。フジカーズジャパンは図面づくりの支援を、MISEKURU工房は保健所への申請書類の無料作成を案内しています。事業者を選ぶ際には、こうした支援がどこまで含まれるかを確認項目に入れておくと、手続きの負担を見通しやすくなります。

必要な資格は食品衛生責任者です。報告書によれば、各自治体の養成講習会を1日(6時間)受講し、受講料は1万円前後です。栄養士や調理師などの資格者は講習が免除されます。営業の準備と並行して取得できるとされていますが、講習の日程は自治体ごとに決まっているため、開業の時期から逆算して予約しておくと安心です。

営業場所に関する手続きも別にあります。道路上で営業する場合は、警察に申請して道路使用許可を取得する必要があると報告書は説明しています。ビルの敷地や広場などの私有地であれば、土地の所有者や管理者の許可が前提です。保健所の許可があるだけでは、どこでも営業できるわけではない点に注意が必要です。

費用は「初期費用」「営業のたび」「維持費」に分ける

費用を考えるときは、1回だけかかる初期費用、営業のたびにかかる運転費用、毎月毎年かかる維持費の三つに分けて数えると抜けが減ります。初期費用の中心は車両です。製作事業者が公表している価格には幅があり、フードトラック・プロは内装製作の価格として軽バンの場合98万円から、軽トラックの場合120万円からを掲載しています。ベース車両の費用、塗装費、移送費は別途とされています。MYキッチンカーは、軽トラックベースを350万円、1トンクラスを370万円、1.5トンクラスを390万円のプラン価格(税込)で案内しています。同じ金額に見えても、何が含まれるかが異なるため、見積もりの内訳を確認することが重要です。

運転費用には、食材費、出店料、燃料やガス代、使い捨て容器などの消耗品があります。報告書は、出店料の目安を固定なら1日3,000円から数万円、歩合なら売上の10〜20%としています。維持費には、自動車税、自動車保険、車検、駐車場代、PL保険の保険料などが含まれます。J-Net21は、固定店舗と比べて初期投資を抑えやすい一方、車両の維持管理の費用を十分に見込む必要があると述べています。

車両を買う前に、レンタルで試すという選択肢もあります。MYキッチンカーは、1日あたり軽バン8,000円から、軽トラック16,000円からというレンタル料金を公表しています。キッチンカーの窓口はレンタルを1日2.9万円からとしています。メニューや出店先との相性を確かめてから購入を決めれば、車両を買ってから「想定と違った」と気づく危険を減らせます。ただし、毎週のように借りれば購入やリースより高くつく可能性があるため、試す期間を決めておくことが前提です。

費用の全体を見通すには、売上から何が残るかを計算してみることも役立ちます。当サイトの開業費用と採算では、中小企業診断協会の報告書の前提を借りた仮定の計算例を載せています。前提を変えるとどれだけ結果が動くかを、自分の数字で試すための参考にしてください。

確認する順番と相談先

ここまでの内容を、実際の準備の順番に並べ直してみます。

  1. メニューと営業エリアを決める:提供する品目の数と工程の数、営業する都道府県を決めます。
  2. 保健所に相談する:営業を予定する地域の保健所に、メニューと車両の案を伝え、必要な設備を確認します。
  3. 車両の仕様と費用を詰める:タンクの容量、シンクの数、換気、冷蔵、電源を決め、複数の事業者から同じ条件で見積もりを取ります。
  4. 資格と保険を準備する:食品衛生責任者の講習を予約し、自動車保険とPL保険の内容を確認します。
  5. 出店場所を探す:営業許可証、自動車検査証、PL保険証、車両の図面などの書類を揃え、出店場所のサービスに登録します。

相談先としては、営業許可は保健所、道路使用は警察署、車両の登録や車検は運輸支局が窓口です。8ナンバー(特種用途自動車)に登録するかどうかで、車検の期間や荷台のキッチン部分を降ろして受ける必要があるかどうかが変わります。報告書は、8ナンバー登録をすると初回から2年ごとの車検になり、作業スペースを降ろさずに車検を受けられると説明しています。費用への影響は車両の区分によって異なるため、製作事業者や運輸支局に確認してください。

出店場所を探すサービスの違いは、出店場所マッチング・スペースシェアの比較表で整理しています。制度の詳細は営業許可と制度にまとめました。なお、制度の最新の内容は、北海道の案内のような自治体の公式ページや、厚生労働省のQ&Aでご確認ください。

まとめ:許可と費用は「メニュー」から逆算する

キッチンカー開業の最初の確認事項は、車両の価格ではなく、売りたいメニューとそれに必要な許可の種類です。調理工程の数がタンク容量と設備を決め、設備が車両の仕様と費用を決めます。営業するエリアが広がるほど、取得する許可の数も増えます。

費用は、初期費用、営業のたびにかかる費用、維持費に分けて数え、出店料の方式や稼働率の変動も織り込んでおく必要があります。車を買う前にレンタルで試す、複数の事業者から同じ条件で見積もりを取る、保健所に図面を持って相談するといった手順が、見落としと手戻りを減らします。本記事は公開情報の整理であり、個別の営業内容に対する許可の可否を判断するものではありません。具体的な要件は、営業を予定する地域の保健所に確認してください。

本サイトはキッチンカー・移動販売の業界動向と制度を公開情報から整理したものであり、特定の車両製作業者・出店サービスの推奨や開業の成功を保証するものではありません。営業許可・道路使用・車両の要件は自治体や所管官庁により異なります。必ず保健所・警察署・運輸支局等にご確認ください。